海外におけるノーコードツール市場の現状と将来展望
ノーコード/ローコードツールとは、ソフトウェア開発においてプログラミング不要(あるいは最小限のコーディング)でアプリケーションや業務システムを構築できるツールの総称です。近年、この分野は急速に拡大しており、企業のデジタル化や開発効率化のニーズを背景に市場規模が著しく成長しています。また、専門知識がなくても使えることから“市民開発(Citizen Development)”と呼ばれる現場社員によるアプリ開発も広がりつつあります。以下では、海外におけるノーコード/ローコードツール市場の規模や地域別動向、代表的なツールと活用事例、投資動向について、初心者にもわかりやすく解説します。
グローバル市場規模と成長予測
世界のノーコード/ローコード開発プラットフォーム市場は2010年代後半から急成長しており、2019年に約100億ドル規模だったものが、2021年には約138億ドルに達したと推計されています。今後も年率20~30%以上のペースで拡大を続け、2025年頃には400~600億ドル規模(約5兆円超)に成長する見通しです。さらに長期的には2030年に約1,870億ドル(約20兆円)規模に達するとの予測もあり、極めて高い成長性が期待されています。
ノーコード/ローコード技術は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や開発者人材不足の解消策として注目されており、ガートナー社は「2025年までに新規アプリケーションの70%近くがノーコード/ローコード技術を利用して開発されるようになる」と予測しています。このように、「コードを書かずに作る」開発手法が今後の主流の一つになると期待されています。
地域別の市場動向
地域別に見ると、現在は北米市場が最も大きく、主要ベンダーの多くが米国企業であることから市場の中心となっています。欧州も世界全体の約3割を占める重要な市場で、銀行・金融や製造業など幅広い業種での導入が進んでいます。一方、アジア太平洋地域は近年特に成長が著しく、今後最も有望な市場とみられています。アジア太平洋は世界で最も高い成長率を記録しており、2030年には地域別で最大の市場規模に達するとの予測もあります。例えば中国やインド、東南アジア各国では、新興企業の台頭やDX需要の高まりを背景にノーコードツールの導入が急増しています。
ノーコードツールの代表例と用途
ノーコードツールには様々な種類があり、目的別に専用のプラットフォームが提供されています。以下に主な分野ごとの代表的なツール例とその用途を紹介します。
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Webアプリケーション/サイト作成:
例:Bubble、Webflow、Carrd
→ ドラッグ&ドロップでWebアプリやサイトを開発。MVP作成に最適。 -
業務プロセス自動化(オートメーション):
例:Zapier、Make、Power Automate、IFTTT
→ 複数のクラウドサービスをつなぎ、自動でタスク処理。 -
データベース構築/業務アプリ作成:
例:Airtable、Ragic、Google AppSheet、Knack、Quick Base
→ スプレッドシート感覚で業務アプリを作成可能。 -
その他の用途:
- フォーム作成:Googleフォーム、Typeform
- マーケ支援:HubSpot
- 簡易BI:Power BI、Looker
実際のビジネス導入事例
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トヨタ(北米法人):
Power Apps を活用し、社員が400以上のアプリを自作。 -
Volcom(アパレル企業):
ParabolaでShopifyやGoogle Analyticsのデータを統合、業務を自動化。 -
Comet(フランスのスタートアップ):
BubbleでWebアプリを開発し、サービス立ち上げから3年で17億円以上を調達。
投資動向とVC(ベンチャーキャピタル)の注目
- 2021年のノーコード関連スタートアップへの投資額:約47億ドル
- 代表的な調達例:
- Airtable:約10億ドル → 評価額117億ドル超
- Webflow:評価額40億ドル超
- Bubble:1億ドル調達
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Creatio:2024年に2億ドル調達
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Google、Microsoft、Salesforce など大手の買収や参入も加速
おわりに
ノーコードツール市場は、「誰もがソフトウェアを作れる時代」を支える重要分野として今後も成長が続くと考えられます。特にDX推進や人材不足に悩む企業にとって、ノーコードの活用は重要な戦略となっています。ビジネス参入や投資の観点から見ても、今後10年でさらに魅力的な市場になると予想されます。